レボセチリジンとモンテルカスト

レボセチリジンとモンテルカストはどちらもアレルギーを抑える薬で、レボセチリジンはくしゃみや鼻水、かゆみの原因となるヒスタミンを抑制する作用があり、モンテルカストは喘息や鼻づまりの原因となるロイコトリエンをブロックする働きがあります。同じアレルギー薬でも効果が異なるため、症状によって使い分けや併用が行われています。先述のように、ヒスタミンはくしゃみや鼻水、かゆみや腫れなどのアレルギー症状を引き起こすため、レボセチリジンなどの抗ヒスタミン薬は鼻炎以外にも蕁麻疹や皮膚炎に効果があります。また、ロイコトリエンは鼻づまりや喘息などのアレルギー症状を誘発するため、モンテルカストなどの抗ロイコトリエン薬は鼻炎の他にも気管支喘息に適応があります。花粉症などの鼻炎に対しては、両方の薬の適応がありますが、くしゃみや鼻水がひどい場合には抗ヒスタミン薬を使い、鼻づまりがひどい場合は抗ロイコトリエン薬を使うなど、症状に応じて使い分ける必要があります。くしゃみや鼻水に効く抗ヒスタミン薬は様々な種類の市販薬があり、軽度であれば市販薬の効果がありますが、ひどい鼻づまりに対しては効果が不十分です。薬剤師は、鼻詰まりの症状がひどい場合には、病院を受診するように指導する必要があります。

偽陽性と無症状期

偽陽性患者の確認検査としては、ウエスタンブロット法、略してWB法が行われます。WB法ではHIVの外側の膜、内部の抗原などに対する抗体を免疫電気泳動法で同時に複数検出する為、エライザ法より精度の高い検査であると言えます。この双方の検査で陽性が確認された場合、HIV感染が確定します。免疫機能の把握やエイズ発症の診断補助として定期的にCD4陽性リンパ球数の検査やHIV-RNAウイルス量を検査していきます。HIVは、感染者の血液や精液・膣分泌液などの体液、また母乳などを介して感染します。初感染した場合には、発熱・咽頭炎・リンパ節腫脹・皮疹と言った症状が現れる事がありますが、それ以降はほとんど無症状というキャリアの時期を迎えます。これを無症状期と言います。この期間は個人差が大きく自覚症状が無いという事も相まって、本人が感染を知らずに周囲の人に感染させてしまっているという危険性があります。免疫能の低下により、更に自体は悪化してしまう事もしばしば。無症状期に日和見疾患を併発してしまい、そこでようやくエイズ発症と診断されるのです。適切な時期から正しい治療を導入出来れば、免疫能を維持する事も出来て長期間エイズを発症しないキャリア期間のまま過ごす事が出来ます。HIVの感染のみでエイズを発症していない状態で治療を開始出来れば、長期間免疫機能を維持できる所まで医療技術が発展してきました。ですので、早期診断が非常に重要となってきます。HIV検査は全国の公的期間で匿名かつ無料で行われています。

腫瘍マーカーが基準値を超えていた場合

腫瘍マーカーの血中レベルは、がんがある程度大きくなるまでは基準値を超えない為に、腫瘍マーカーでの早期がんの診断は不可能です。ですので、他の血液検査・画像検査や病理検査などと組み合わせて総合的な診断が必要となってきます。早期がんと診断された場合でも、腫瘍マーカーの値が高いのであれば、転移あるいは他の臓器に浸潤している確率は高いと言えます。また、手術などの治療前に腫瘍マーカーが基準値を超えていた場合、手術後も引き続き腫瘍マーカーの値を追跡します。これによって治療の効果・再発の有無の判定にも役立てられます。腫瘍マーカーが完璧なわけではありません。あくまでも腫瘍マーカーはがんの補助検査の1つだという認識でいるべきでしょう。

うつ病

憂鬱で、興味や喜びなどを感じられなくなる状態は抑うつ状態と呼ばれます。ストレスに対する反応として一時的に生じるという事もありますが、いくつかの症状を伴いながらそれが2週間以上継続して続くようであれば、うつ病と診断されます。一方で、身体の症状が主体で抑うつ気分の自覚が無いという場合には、仮面うつ病となります。検査の為に病院を転々とする「ドクターショッピング」と呼ばれる状態に陥る場合もあり注意が必要だと言えます。よりよい効果を求めて医療機関を変える・患者さんが薬物依存状態にある為に、限度上限の薬剤を入手すると違う医療機関を受診する等、原因は様々考えられます。日本において向精神薬には処方箋量に上限が定められています。このドクターショッピングという状態は、治療域を超えた過剰な薬剤摂取に繋がってしまいかねないという問題点を有しています。

アメリカで流行するインフルエンザ

インフルエンザはアメリカで2020年のペースは過去最悪とも称されるほど猛威を振るっています。2020年2月14日時点で患者数2600万人、死者1万4000人にのぼります。一体なぜこんなにもアメリカでインフルエンザが猛威を振るっているのでしょうか。インフルエンザに紐づけてアメリカの医療事情についても少し触れてみたいと思います。アメリカは、実は健康保険への加入が任意なのです。おまけに加入する健康保険の種類によって自己負担額も異なるのです。何に対して保障しているのか・加入している保険会社のネットワーク内の病院か否かでも変わってきます。そして、救急車が有料なのです。日本円にすると20万円以上。日本のように、「意識はある・動けるけど、症状悪化や更に緊急事態に陥った時に自分たちだけで対処しきれない事を懸念して救急車を呼ぼう」とはいかないのです。

血小板数

私たちの身体には、精巧な止血機構が備わっています。そして、けがをしてもよほどの事が無ければ圧迫などで止血する事が可能なのです。

この際に、もっとも活躍する細胞が血球成分の1つで、骨髄より作り出されるのが血小板になります。血小板は一次止血と言って、初期の止血に中心的な役割を果たし、凝固タンパク質が役割を果たす二次止血と相まって、重要な役割を担っています。血小板はその粘着反応・凝集反応により血管が傷つき出血した際に、血栓となって出血を止める働きをしています。

止血反応の要の細胞である血小板の数を算定する検査が本検査になります。また、異常な出血がみられた場合には、必ず本検査を行い調べる必要があると言えます。

白血球の検査

顕微鏡による観察では細菌やウイルスなどの感染症にかかっていないか・免疫能はどうか・さらには血球を産生する骨髄の機能なども知る事が可能です。好中球は感染防御能・リンパ球は免疫能と関係し、また好酸球はアレルギー疾患の際に増加する事が知られています。

血液癌である白血病に関しても、本検査結果が診断の糸口になります。白血球数の個人差が大きく、また同じ人でも1日のうちの時間帯によっても変化し、運動等によっても影響を受けます。

その為、多少の変動があってもあまり気にする必要はありません。健診などで、基準値よりはずれていても程度が軽く、時間による変化が無ければ心配いりません。逆に基準値内でも同じような状態で検査をして、以前の検査値と大きく変動した場合が必要です。

痛風の治療法

痛風は、重症化すると関節の破壊や腎障害が進行していきます。また、動脈硬化の原因ともなり、冠動脈疾患や脳血管疾患などのリスクは高まります。治療により血中尿酸値が抑えられれば、痛風発作や腎障害は予防が可能です。治療は痛風発作と高尿酸血症の治療に分けます。前兆がある場合には、薬剤で発作を予防できます。しかし発作時にはすぐに薬剤で急激に血中尿酸値を下げようとするのではなく、まず薬剤で炎症の改善を図っていきます。高尿酸血症に対しては、生活習慣を見直しつつ薬剤を用いて血中尿酸値を正常値に保てるようにします。プリン体の含有量の多い食品や肉類を出来るだけ避けて、適度な運動を心がけるように生活習慣の改善も行っていきます。

CRP(C-反応性たんぱく)

CRP(C-反応性たんぱく)とは、体内で炎症反応や組織の破壊が起きた際に、肝臓での産生が高まり、血中に増えるたんぱくの1種です。元来は、肺炎球菌のC多糖体に沈降反応を示す血清たんぱくとして知られていました。

CRPの肝臓での産生量は炎症反応の強さに相関する為、血清中のCRPを炎症反応の指標とする事が出来るのです。実際、血沈亢進の原因となるフィブリノゲンもCRPと共に急性期相たんぱく質として同じように増減します。

また、心筋梗塞など組織が破壊された時にもCRPは高値となります。CRPの異常高値によって、感染症や様々な炎症性疾患などの存在が分かります。

関節リウマチなどの膠原病などでも高値になります。ただ、どの臓器・部位に病巣があるのかは、この検査だけからは不明です。

肥大型心筋症

心筋症は、原因が不明という例もありますが、およそ60~70%は家族歴を認めます。心臓は特に左心室の肥大(とりわけ心室中隔の肥大)とそれに起因する心機能障害が特徴的です。左心室(特に流出路)に狭窄がある時は、閉塞性肥大型心筋症と呼ばれます。症状としては、労作時の息切れが代表的でしょう。更に労作時の胸痛やめまい・失神発作もあります。不整脈が合併すればその症状も現れます。20歳未満の発症は死亡率が一般人の16倍とされていますが、それ以降の発症例では1.2倍と一般人とさほど変わりません。年間の死亡率は突然死が1%、次いで心不全死が0.6%、そして塞栓症死が0.1%という順になっており、突然死の主要な危険因子は心停止の既往歴・持続性心室頻拍・突然死の家族歴になります。肥大型心筋症の検査時において、心電図では左右非対称の深く陰転したT波が特徴的です。心エコーでは、心室壁の肥厚、肥大型閉塞性心筋症では左室流出路に速い血流が認められます。心筋生検をしなければ、カテーテル検査は不要です。肥大型心筋症と診断を受けた場合、薬(β遮断薬など)・除細動機能つきのペースメーカー植え込み・右心室ベーシング・カテーテルよる心室中隔焼灼・心室中隔心筋切除術などで治療を行っていく事となります。